谷川道子ブログ

東大大学院修了(ドイツ演劇)。東京外国語大学教授。現在、東京外国語大学名誉教授。

TMP(多和田/ミュラー・プロジェクト)の現在とこれからの展開

 いまだ先の読めないコロナ禍状況ですが、それでもできることをこの間に頑張って探って、ご承知のように2冊の多和田演劇本を上梓しました。

 1冊目は2020年10月に東京外語大出版会から刊行された『多和田葉子ハイナー・ミュラー 演劇表象の現場』。この本に関しては2021年2月13日号の「図書新聞」に、ドイツ語圏演劇研究の寺尾格氏が、見事な書評を書いて下さいました。題して「書物のパフォーマンス性~多和田葉子の文学活動の原点に何があったのか」。以下、掲載させて頂きます。寺尾氏はこの3月に専修大学を定年退職、その最終講義でもこの本について言及されて、有難かったです。

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 2冊目の『多和田葉子の〈演劇〉を読む』は、その姉妹ペア本として、2021年1月に論創社から刊行されました。装丁家宗利淳一氏の渾身の作で、「ミュラー墓前の多和田葉子」の写真を活かして素敵な姉妹2冊本として仕上がったのですが、版元が異なるとあわせての宣伝・書評は難しいらしく、中々批評などでも取り上げられない中、週刊「読書人」から、2冊本刊行記念として、多和田葉子さんと編者である私とのリモート対談を提案され、4月半ばに久しぶりの対話となり、編集者角南範子さんの素敵なレイアウトで、連休明け5月7日号に掲載の運びとなりました。題して「多和田葉子の〈世界劇場〉を遊ぶ」。5月7日号公刊です。その「読書人」HP宣伝サイトから覗いて下さい。

dokushojin.com

 

 さて、ここからは今後これからの展開です。

 2021年5月19日に、刊行記念行事の一環として、東京外語大学で山口裕之+沼野恭子両先生の企画として、Zoomウェビナーでのリモートによる多和田葉子のワークショップと朗読会「海を越える『献灯使』~翻訳の中で声となる言葉たち」が開催されますので、そのチラシを掲載します。一般公開されますが、定員500名です。是非お申し込みを!

www.tufs.ac.jp

 
 もう一つは、今秋に1年延期となった、京都芸術大学の〈舞台芸術作品の創造・受容のための領域横断的・実践的研究拠点・劇場実験型公募研究>に採択された「多和田葉子の演劇~連続研究会と『夜ヒカル鶴の仮面』アジア多言語版ワーク・イン・プログレス」。上演は10月末の予定ですが、その中間研究発表会が5月30日にZoomリモート会議として開催予定(非公開)。コロナ禍の状況でどこまで何が可能かの手探り途上。無事に本番が開催されることを願って、谷川道子と川口智子で参加の予定。

 TMPはまだ続いていくことと思いますが、今はとりあえず以上です。